柚子の皮の砂糖漬けや柚子ジャムでは、茹でこぼしと水さらしで苦味成分を減らしたあとにさらに砂糖を加える。ショ糖が苦味の感じ方を弱めるという一般的な知見はあるが、柚子の皮そのものを対象にした官能測定は見当たらなかった。この砂糖は残った苦味成分を取り除いているのか、それとも甘味との混合で苦味の感じ方を弱めているだけなのか?
由来: 編集部が立てた問い
注記: 既存の一般知見とユズ加工の実務(桒田・小泉武夫マガジン)を突き合わせる中で生まれた編集仮説。
食材
yuzu peel (柚子の皮) / Citrus junos
柚子の皮は、ユズ(Citrus junos)の果皮。外果皮(フラベド、黄色い部分、精油を含む)と中果皮(アルベド、白いワタの部分)から成る。皮にはナリンギン等の苦味成分が含まれるが、白いワタに多いかどうかを部位を分けて測った資料は見当たらない。皮を素材として使う際は、茹でこぼす・白いワタをこそげ取る・水にさらす・砂糖を加える等の下処理を経ることが多い。マーマレードに加工したものは柚子皮マーマレードとして別に扱う。
食材 / ingredient-yuzu-peel
↑苦味を読む
柚子の皮は外側の黄色い部分(フラベド)と内側の白いワタ(アルベド)から成る。台所の記事は白い部分が苦いとして、再沸騰後1分半から2分ほど茹でてから白い部分をスプーンでこそげ取り、2〜3回水を替えながら1日ほど水にさらす手順を記録している。ただし、白いワタを除いた場合と除かない場合の苦味を比べた資料は見当たらない。マーマレード用にナリンギンの溶出量を調べた研究では、自家製が市販品より多く含んでいたと報告されており、市販品は水にさらすなどの苦味抜きを経るためと考えられると記されている。この研究もナリンギンを外果皮と、白いワタを含む材料とに分けて測っており、白いワタだけの値は示していない。
柚子の皮を水に浸けてから加熱する工程を追ったマーマレード製造の分析では、ナリンギンは63から76パーセント減った一方、別の苦味候補成分ノミリンは5.4から15.8ppmへ増えたと記録されている。苦味に関わりうる成分が逆方向に動くため、皮の苦味が一様に弱まるとは言い切れない。加熱そのものが苦味を生む面があるという記述も総説にあるが、これは総説が引用する別の文献の孫引きであり、直接確認された知見ではない。
この本文で確認した範囲: 自家製と市販品のナリンギン量の違いを紹介した部分/加熱で苦味が生じるという総説の記述を紹介した部分
この本文で確認した範囲: 茹でこぼしと水さらしの具体的な手順を紹介した部分
Effect on the Taste and Flavor of Marmalade by Combining Citrus Fruits
この本文で確認した範囲: ナリンギン減少とノミリン増加の数値を紹介した部分
別名: アルベド(中果皮・白いワタ)(ja)、yuzu peel(en・同定medium)
仮説は事実主張ではありません。面白さを探索の入口として保存し、これから資料・聞き書き・観察で確かめます。
柚子の皮の砂糖漬けや柚子ジャムでは、茹でこぼしと水さらしで苦味成分を減らしたあとにさらに砂糖を加える。ショ糖が苦味の感じ方を弱めるという一般的な知見はあるが、柚子の皮そのものを対象にした官能測定は見当たらなかった。この砂糖は残った苦味成分を取り除いているのか、それとも甘味との混合で苦味の感じ方を弱めているだけなのか?
由来: 編集部が立てた問い
注記: 既存の一般知見とユズ加工の実務(桒田・小泉武夫マガジン)を突き合わせる中で生まれた編集仮説。
柑橘一般については、加熱や貯蔵で無味の前駆体から苦味が生じるという総説の記述(萩原)がある。加熱の前後で柚子の皮の苦味を測った資料は見当たらなかった。アルベドの除去・茹でこぼし・水さらしをしないまま加熱したとき、苦味は実際に増えるのか?
由来: 編集部が立てた問い
注記: 収集した資料がいずれも柑橘一般についての総説的記述にとどまり、柚子の皮を対象にした直接の測定が見当たらなかったために生まれた編集仮説。
水に浸けて加熱するとナリンギンは減る一方でノミリンは増える、という測定(森下)がある。この測定だけでは判断できない。どちらも苦味に関わりうる成分だとすると、茹でこぼしと水さらしは柚子の皮の苦味全体を実際に減らしているのか?
由来: 編集部が立てた問い
注記: 森下の測定でナリンギンとノミリンが逆方向に動くことを確認し、料理系ウェブメディア(丸ごと小泉武夫食マガジン)が「苦味を抜く」と説明する茹でこぼし・水さらしの手順が実際に苦味全体を下げているかどうかを単純に断定できないと判断したために生まれた編集仮説。
構造化された主張 — 節を開くと、主張ごとの確度・根拠・限界が読めます
範囲: ユズ外果皮・中果皮(アルベド)の組織学的・化学的研究(桒田ほか、日本調理科学会誌48巻2号)
注記: 桒田(2015)はナリンギンを苦味成分として、フラベド(外果皮)とゼリー材料(アルベド・内果皮・果肉を含む混合物)の2区分で測った。白いワタ(アルベド)にナリンギンが多いという部位の違いは、この論文の本文にも図にも書かれていない。
ingredient-yuzu-peel —has_perceived_bitterness_associated_with→ (上の主張の文)範囲: 柑橘マーマレード加工に関する総説(桒田2015)
注記: 総説冒頭の「柑橘マーマレードを製造する際、加熱によって苦味の生成が起こる」という記述は、著者が引用する文献(三浦・荒木1988、弓削ほか1993)に基づく二次的な要約であり、本調査ではこれらの一次文献そのものは直接確認していない。
ingredient-yuzu-peel —has_perceived_bitterness_affected_by→ (上の主張の文)範囲: 柚子の皮の処理法解説記事(丸ごと小泉武夫 食マガジン)
注記: 料理系ウェブメディアの手順記事で、「ジャムや柚子茶にしても苦くない」と書くが、官能評価や化学分析は伴わない。白いワタを除いた場合と除かない場合の苦味を比べた記述は無い。
ingredient-yuzu-peel —has_perceived_bitterness_suppressed_by→ (上の主張の文)範囲: ユズ果皮を用いた1994年のマーマレード工程(森下1994)
ingredient-yuzu-peel —was_observed_with→ (上の主張の文)