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主題ハブ — 2026-10-21

大根おろしの苦味は、部位や品種・おろし方で変わるのか

先に断っておくと、大根おろしの研究の多くが測っていたのは苦味ではなく辛味(鼻や舌にツンとくる刺激)で、人が苦味を比べた研究は、探した範囲で一本しかなかった。この頁では苦味と辛味の評価の結果を同じものとして扱わず、辛味が弱くなったことを苦味が弱くなったとは書かない。 大根の首の方は甘く、先の方は辛くて苦い、と言われることが多い。 では、部位・品種・おろし方・おろした後の時間を変えて、人が大根おろしの苦味を比べた研究は何と答えているか。 この頁では、収録した研究を、品種・部位・おろし器・置いた時間・評価した人と尺度、という条件と一緒に並べる。 そのうえで、同じ実験の中で確かめられたことと、研究のあいだの違いから考えられる説明の候補と、 この比較だけでは分けられないことを、分けて書く。 ここで扱うのは味の感じ方の研究で、食べ方の助言や健康についての話ではない。

このページの内容(10 節)
  1. この頁でわかること
  2. 収録した研究で言える範囲
  3. 苦味の評価の一覧
  4. 研究ごとの条件と結果
  5. 実験の中で確かめられたこと
  6. 結果の違いの説明の候補
  7. 分かっていないこと——この比較だけでは分けられないこと
  8. 研究と行の数え方
  9. 調べた範囲
  10. 図鑑で読む
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この頁でわかること

収録した研究で言える範囲

苦味の評価の一覧

人の苦味の評価の結果だけを抜き出した。「比べた試料」と「比べた相手」の値は、論文の表のまま。 順位合計は小さいほど苦いので、「向き」は値の大小ではなく、どちらが苦かったかで書いた。差が有意かどうかは「向き・検定」の欄の検定の段で見る。研究名を押すと、条件の詳しい表へ移る。 辛味と辛味の成分の行は、研究ごとの詳しい表にある。

人が苦味を評価した結果だけを抜き出した一覧。値の出所(表の値か図からの目測か)は各行に書いた。研究ごとに尺度も測り方も違うので、行の中で比べ、行どうしは比べない。

研究比べた組・条件測り方比べた試料比べた相手向き・検定
河村ら 1989尾部 対 頭部(青首)
おろし直後から 10 分以内、金属製のおろし器、頭部・中部・尾部の 3 つを比べた
順位合計(20 名、小さいほど苦い)21(尾部)57(頭部)・42(中部)比べた試料の方が苦い
検定あり・有意
河村ら 1989尾部 対 頭部(美濃早生)
同じ(3 つの部位)
順位合計(20 名、小さいほど苦い)26(尾部)57(頭部)・37(中部)比べた試料の方が苦い
検定あり・有意
河村ら 1989尾部 対 頭部(信州地)
同じ(3 つの部位)
順位合計(20 名、小さいほど苦い)21(尾部)59(頭部)・40(中部)比べた試料の方が苦い
検定あり・有意
河村ら 1989辛味大根 対 青首の尾部
辛味大根は丸ごと、青首は尾部。どちらが苦いかを 2 つずつ比べた
より苦いと選んだ人数(20 名)17 名3 名比べた試料の方が苦い
検定あり・有意

研究ごとの条件と結果

研究ごとに、試料・おろし方・出し方・評価した人の条件と、測った結果を並べる。行の単位は「研究×測定結果」で、 同じ研究の中の別の比較は別の行にした。各行の下に、論文での位置と、 その行が「部位・品種・おろし方・おろした後の時間などで、人が感じる大根おろしの苦味が変わるか」の比較に使えるかを、理由と一緒に書いた。 辛味だけ・成分だけの行も、苦味の比較に使えないことが分かるように残した。 空欄にせず、「記載なし」(論文に書かれていない)、「読んでいない」、「該当しない」を書き分けている。

河村ら 1989 官能と成分

おろし辛味大根の辛味特性について. 日本家政学会誌 40(12):1051-1056 — doi:10.11428/jhej1987.40.1051

原文の確認の深さ
全文で確認 — J-STAGE の PDF 全 6 頁。方法・結果・要約。官能の表 3〜11 は頁画像で確認した。成分の表 1・2 は官能に使わず、本文だけ読んだ 確かめた者: LLM(読み取りの係が抜き出し、別の者が原典で照合。人の確認は無い)、2026-10-21。
試料
辛味大根(1988 年 12 月に京都で収穫、2〜5 日後)、青首大根(神奈川県三浦産・10〜12 月)、美濃早生大根(千葉県柏産・10 月)、信州地大根(長野県更埴産・11 月、収穫後 2〜4 日以内)。個数は記載なし
加工・調理
薄く皮をむき、辛味大根以外は横に 3 等分して頭部・中央部・尾部とし、金属製おろし器でおろす(比較では目の粗いプラスチック製も)。官能の試料はおろしてから 10 分以内。調味料等を加える試料は、あらかじめ用意した水または調味液の中へおろしながら攪拌した。放置 0・20・40・60 分。添加は水、食塩 2%、しょうゆ 10%、天つゆ 50%、食塩 2%+食酢 13%、三杯酢 20%(おろし 100 に対する割合)(調味料等の具体的な添加率は、表の本体が読めておらず未確認)
出し方・食べ方
温度・量・容器は記載なし
誰が・どの尺度で
20 人(東京家政大学栄養学科の学生のうち識別能力ありと認めた者と調理学研究室員)。順位法(辛味・うま味・甘味・苦味。順位合計が小さいほど強い)と二点識別試験法。有意は危険率 5%・1%・0.1%の印で、検定の名前は記載なし(順位表の細部は、表の本体が読めておらず未確認)
測ったもの比べた組・条件比べた試料比べた相手単位向き・検定
苦味の強さ(官能)尾部 対 頭部(青首)
おろし直後から 10 分以内、金属製のおろし器、頭部・中部・尾部の 3 つを比べた
21(尾部)57(頭部)・42(中部)順位合計(20 名、小さいほど苦い)比べた試料の方が苦い
検定あり・有意
尾部と頭部に 1% 水準の印。中部は中間。同じ試料で辛味も尾部が強く(20 対 60)、うま味と甘味は尾部が弱い 原典の位置: 表 3
部位・品種・おろし方・おろした後の時間などで、人が感じる大根おろしの苦味が変わるかの比較に: 使える — 同じ大根の部位を、同じ 20 名が同じおろし方で苦味の順に並べた
苦味の強さ(官能)尾部 対 頭部(美濃早生)
同じ(3 つの部位)
26(尾部)57(頭部)・37(中部)順位合計(20 名、小さいほど苦い)比べた試料の方が苦い
検定あり・有意
尾部と頭部に 1% 水準の印。辛味は尾部 20 対 頭部 60 原典の位置: 表 3
部位・品種・おろし方・おろした後の時間などで、人が感じる大根おろしの苦味が変わるかの比較に: 使える — 青首と同じ方法で、別の品種でも同じ向き
苦味の強さ(官能)尾部 対 頭部(信州地)
同じ(3 つの部位)
21(尾部)59(頭部)・40(中部)順位合計(20 名、小さいほど苦い)比べた試料の方が苦い
検定あり・有意
尾部と頭部に 1% 水準の印。辛味は尾部 24 対 頭部 55。本文は 4 つの味のどれも部位で有意と書くが、表ではうま味の頭部(32)に印が無い 原典の位置: 表 3
部位・品種・おろし方・おろした後の時間などで、人が感じる大根おろしの苦味が変わるかの比較に: 使える — 青首と同じ方法で、3 つ目の品種でも同じ向き
どちらが苦いかを選んだ人数(官能)辛味大根 対 青首の尾部
辛味大根は丸ごと、青首は尾部。どちらが苦いかを 2 つずつ比べた
17 名3 名より苦いと選んだ人数(20 名)比べた試料の方が苦い
検定あり・有意
1% 水準。辛味は 20 対 0(0.1% 水準)で辛味大根、うま味と甘味は青首の尾部が強い。品種のほかに部位(丸ごと対尾部)も違う 原典の位置: 表 4
部位・品種・おろし方・おろした後の時間などで、人が感じる大根おろしの苦味が変わるかの比較に: 限られる — 品種で苦味を比べたが、辛味大根は丸ごと、青首は尾部で、部位も違う
辛味の成分(イソチオシアネート)尾部 対 頭部(MTBeI)
同じ大根の頭部と尾部(中部は測っていない)
32.63(青首)・27.23(美濃早生)・35.92(信州地)13.66・14.57・20.96mg/100 g((E)-4-メチルチオ-3-ブテニルイソチオシアネート、MTBeI)比べた試料が高い
検定の記載なし
辛味大根は 71.12(要約は抽出した全量の 73.7 を書く。表 1 と本文は MTBeI 71.12)。著者が苦味の成分として挙げるマグネシウムも尾部が多い(青首 9.7 対 4.9 mg/100 g)が、苦味と成分を結ぶ検証は無い 原典の位置: 表 1・表 2
部位・品種・おろし方・おろした後の時間などで、人が感じる大根おろしの苦味が変わるかの比較に: 使えない — 苦味の比較ではなく、同じ部位の辛味の成分の量。人の苦味の評価は無い。文脈の資料として残す
辛味(ツンとくる辛さ、官能)目の細かい金属製 対 目の粗いプラスチック製
辛味大根だけ。どちらが辛いかを 2 つずつ比べた。苦味は測っていない
18 名2 名より辛いと選んだ人数(20 名)比べた試料が高い
検定あり・有意
0.1% 水準。材質と目の粗さが同時に違う 原典の位置: 表 5
部位・品種・おろし方・おろした後の時間などで、人が感じる大根おろしの苦味が変わるかの比較に: 使えない — 辛味だけを測った。おろし方で苦味が変わるかには使えない
辛味(ツンとくる辛さ、官能)おろした直後 対 60 分後
辛味大根だけ。0・20・40・60 分置いたものを比べた。苦味は測っていない
27(直後)71(60 分)・49(20 分)・53(40 分)順位合計(20 名、小さいほど辛い)比べた試料が高い
検定あり・一部の組だけ有意
直後と 60 分に 1% 水準の印。2 つずつの比較では 0 分と 20 分が 5%、0 分と 40 分が 0.1%、20 分と 60 分が 1% 水準で、20 分と 40 分、40 分と 60 分は有意差なし。0 分と 60 分を 2 つで比べた結果は載っていない 原典の位置: 表 6・表 7
部位・品種・おろし方・おろした後の時間などで、人が感じる大根おろしの苦味が変わるかの比較に: 使えない — 辛味だけを測った。置いた時間で苦味が変わるかには使えない
辛味(ツンとくる辛さ、官能)水 対 天つゆ・三杯酢
辛味大根だけ。先に用意した水や調味液の中へおろしながら混ぜた。大根 100 に対して、1 つ目の実験は水 50・食塩 2 と水 48・しょうゆ 10 と水 40・天つゆ 50、2 つ目の実験は水 20・食塩 2 と水 18・食塩 2 と食酢 13 と水 5・三杯酢 20。苦味は測っていない
22(水)69(天つゆ)・72(三杯酢)順位合計(20 名、小さいほど辛い)比べた試料が高い
検定あり・有意
2 つの別々の順位の実験で(69 と 72 は別の実験の値で、互いには比べられない)、水が最も辛く、天つゆ・三杯酢が最も弱い(1% 水準)。食塩と食酢 対 三杯酢は有意差なし 原典の位置: 表 8〜11
部位・品種・おろし方・おろした後の時間などで、人が感じる大根おろしの苦味が変わるかの比較に: 使えない — 辛味だけを測った。加えたもので苦味が変わるかには使えない

江崎ら 1982 成分だけ

大根おろし辛味成分の消長について. 家政学雑誌 33(10):513-520 — doi:10.11428/jhej1951.33.513

原文の確認の深さ
全文で確認 — J-STAGE の全文(本文)。図 3〜7 の値は図読みしていない 確かめた者: LLM(読み取りの係が抜き出し、別の者が原典で照合。人の確認は無い)、2026-10-21。
試料
美濃早生の根(1980 年 6〜7 月、愛知県豊田市近郊)。上部・中部・下部に切り分けた
加工・調理
プラスチック製のおろし器でおろし、27 ℃に置いて時間ごとに 10 g を取り、塩酸で酵素の反応を止めてイソチオシアネートを比色で定量。三杯酢(おろし 120 g に醸造酢 25 mL・濃口しょうゆ 5 mL・砂糖 1.7 g、対照は水 30 mL)・酢酸・食塩・ショ糖を加えた試料も
出し方・食べ方
該当しない(人の官能は試食の記述だけ)
誰が・どの尺度で
評価者なし。著者の試食の記述が 1 つある(人数・尺度・検定の記載なし)
測ったもの比べた組・条件比べた試料比べた相手単位向き・検定
辛味の成分(イソチオシアネート)下部 対 上部
美濃早生のおろし、直後
上部の約 3 倍上部(基準)イソチオシアネートの量(約 3 倍と 30 分で半減は本文の値、絶対量は図)比べた試料が高い
検定の記載なし
下部は減り方も速く、おろして 30 分で半減した。順に中部、上部。成分だけで、苦味も辛味も人は評価していない 原典の位置: 本文(結果)
部位・品種・おろし方・おろした後の時間などで、人が感じる大根おろしの苦味が変わるかの比較に: 使えない — 成分だけで、人の苦味の評価は無い。部位の違いの向きは河村と同じで、文脈の資料として残す
辛味の成分(イソチオシアネート)三杯酢・酢酸 あり 対 なし
美濃早生のおろし 120 g に、醸造酢 25 mL・濃口しょうゆ 5 mL・砂糖 1.7 g の三杯酢(pH 3.8)。対照はおろし 120 g に水 30 mL(pH 5.8)。酢酸・食塩・ショ糖を加えた試料も
多く残った(値は図)値は図残ったイソチオシアネートの量比べた試料が高い
検定の記載なし
残りは多いのに、試食すると何も加えない方が辛く感じた、と著者は書く(人数・尺度・検定の記載なし)。食塩とショ糖は減り方に影響しなかったと書く。測った成分の量と、検定の無い試食の記述とが逆の向き 原典の位置: 本文(結果)、図 4・5
部位・品種・おろし方・おろした後の時間などで、人が感じる大根おろしの苦味が変わるかの比較に: 使えない — 成分だけで、感じ方は著者の試食の一言だけ

江崎ら 1980 成分だけ

大根中の辛味成分の比色定量法. 栄養と食糧 33(3):161-167 — doi:10.4327/jsnfs1949.33.161

原文の確認の深さ
全文で確認 — J-STAGE の全文(本文と要約)。図 5〜7 の値は図読みしていない 確かめた者: LLM(読み取りの係が抜き出し、別の者が原典で照合。人の確認は無い)、2026-10-21。
試料
7 品種(青首宮重・白首宮重・守口・二十日・短形宮重総太・方領・大蔵、名古屋市近郊産)。短形宮重総太は根を 6 等分
加工・調理
すりつぶして搾った汁を 30 ℃で 30 分置き、イソチオシアネートを比色で定量
出し方・食べ方
該当しない(人の官能は無い)
誰が・どの尺度で
評価者なし
測ったもの比べた組・条件比べた試料比べた相手単位向き・検定
辛味の成分(イソチオシアネート)最先端 対 頭部
短形宮重総太の根を 6 等分(7 試料)。すりつぶして搾った汁を 30 ℃で 30 分置いてから定量
頭部の約 10 倍頭部(基準)イソチオシアネートの量比べた試料が高い
検定の記載なし
先端に近いほど多い。成分だけで、人の評価は無い 原典の位置: 本文(結果)、要約
部位・品種・おろし方・おろした後の時間などで、人が感じる大根おろしの苦味が変わるかの比較に: 使えない — 成分だけで、人の苦味の評価は無い。文脈の資料として残す

岡野ら 1990 官能だけ

ダイコン品種の辛味成分含量. 園芸学会雑誌 59(3):551-558 — doi:10.2503/jjshs.59.551

原文の確認の深さ
全文で確認 — J-STAGE の全文。官能の図 3・表 3 は頁の画像で確かめた。図 1・2 の個々の値は読んでいない 確かめた者: LLM(読み取りの係が抜き出し、別の者が原典で照合。人の確認は無い)、2026-10-21。
試料
野菜茶業試験場(安濃)で同じ条件で育てた 38 品種(成分は基本 3 個体)。官能は図 3 が日本ダイコン 7 品種、表 3 が別の日本ダイコン 2 品種と中国ダイコン 4 品種の 7 条件(YR くらまは根端と首)。官能の試料も GC で測った
加工・調理
根を縦に 4 または 8 に割り、おろし金付きのフードプロセッサーでおろした(成分と同じ調製)
出し方・食べ方
おろしてから 30 分以内に評価
誰が・どの尺度で
職員 8 名。辛味と甘味を 4 段階(0 感じない〜3 非常に)の絶対評価で、平均点を示す。訓練の記載なし。官能に検定は無い。苦味は測っていない
測ったもの比べた組・条件比べた試料比べた相手単位向き・検定
辛味(ツンとくる辛さ、官能)MTB-ITC の多い品種 対 少ない品種
おろしたもの(おろして 30 分以内)。図 3 は日本ダイコン 7 品種、表 3 は別の日本ダイコン 2 品種と中国ダイコン 4 品種の 7 条件(YR くらまは根端と首)
MTB-ITC が 500 µmol/100 mL 以上の切葉松本地大根は 8 名全員が「非常に辛い」300 µmol/100 mL 以下の品種は対応が不明瞭4 段階の平均点(8 名)比べた試料が高い
検定の記載なし
成分の多い品種ほど辛く、甘味は逆の傾向。表 3 の YR くらまは根端 1.6(293 µmol/100 mL)、首 0.6(66)。著者は、少ない品種での対応の不明瞭さを、評価者の熟練や試料の多さによる識別の低下の可能性とし、方法の見直しが要るとする。苦味は測っていない。考察で「辛味や苦味が強いことで知られる」品種に触れるのは経験の記述 原典の位置: 図 3・表 3、本文
部位・品種・おろし方・おろした後の時間などで、人が感じる大根おろしの苦味が変わるかの比較に: 使えない — 辛味と甘味を品種で比べた。苦味は測っていない

椿と篠田 2023 官能だけ

日本産辛味ダイコン主要品種の特性比較. 園芸学研究 22(1):11-18 — doi:10.2503/hrj.22.11

原文の確認の深さ
全文で確認 — J-STAGE の全文(本文・表 1〜4)。図 2・3 の値は図読みしていない 確かめた者: LLM(読み取りの係が抜き出し、別の者が原典で照合。人の確認は無い)、2026-10-21。
試料
辛味ダイコン 11 品種・系統と、対照の紅くるり・総太り宮重。官能は 2020 年 8 月 31 日まき・11 月 12 日収穫で、成分(2012 年)とは収穫の年が違う。根の中央部だけ
加工・調理
根の中央部をおろし金でおろし、約 5 分置く(おろし金の材質・目は記載なし)
出し方・食べ方
口に直接含んで評価
誰が・どの尺度で
のべ 17 名。辛さ・甘さ・香り・舌触りを 5 段階(辛さは 1 辛くない〜5 極辛い)で、平均値を示す。訓練の記載なし。品種のあいだの官能の平均の差の検定は無く、相関(有意の印あり)を示す。苦味は測っていない
測ったもの比べた組・条件比べた試料比べた相手単位向き・検定
辛味(ツンとくる辛さ、官能)辛味ダイコン 対 対照の青首など
根の中央部のおろし(約 5 分置いた)、13 品種
4.1(ピリカリ)・4.0(ノラ)1.6(紅くるり)・1.9(総太り宮重)5 段階の平均(調査人数はのべ 17 人)比べた試料が高い
検定の記載なし
辛さとイソチオシアネートの量は r=0.90(0.1% 水準)、甘さと辛さは r=−0.62(5% 水準)。辛味ダイコンでも 2.2(たたら辛味)の品種がある。品種のあいだの官能の平均の差の検定は無く、成分とは収穫の年が違う。苦味は測っていない 原典の位置: 表 3・表 4、本文
部位・品種・おろし方・おろした後の時間などで、人が感じる大根おろしの苦味が変わるかの比較に: 使えない — 辛さ・甘さなどを品種で比べた。苦味は測っていない

実験の中で確かめられたこと

同じ研究の中で、同じ評価者が条件を変えて比べた結果だけを書く。

横に置いた大根が三段。どの段も葉の付け根の左から頭部・中部・尾部に線で区切り、それぞれの下に同じ量の白いおろしを盛った小皿がある。紫の印はどの段も頭部の下が淡く、尾部の下が濃い。中部の下には印がない。

頭部

中部

尾部

上の段から 青首 / 美濃早生 / 信州地

3 品種の大根の皮を薄くむき、長さを三等分して金属のおろし器でおろし、10 分以内に、20 名が苦い順に並べた研究。3 品種とも尾部が頭部より苦いと評価された(1% 水準)。中部も評価されていて順位は頭部と尾部のあいだだったが、有意の印が無いので、印を置かない。印が無いのは苦味が無い・測っていない・ほかの部位と同じという意味ではない。紫は品種の中の順序だけで、順位の比や差の大きさではなく、品種どうしの苦さを比べるものでもない。同じおろしで辛味も尾部が強く、苦味の評価に辛味がどれだけ混じったかは分けられていない。大根の形は三等分を示す模式で、品種の実際の形や大きさではない。紫は実際の色ではない。

出典: 河村ら 1989(表の「研究ごとの条件と結果」の河村ら 1989)

説明図: イラスト係(PurpleHeron)

結果の違いの説明の候補

部位や品種のあいだで違う条件のうち、苦味の違いを説明しうるもの。 複数の条件が同時に違うので、どれが効いたかは分からない。ここに書くのは候補で、原因ではない。

分かっていないこと——この比較だけでは分けられないこと

研究と行の数え方

根拠の行の数は、研究の数ではない。表の行・台帳の根拠の行・論文・研究グループを分けて数える。

調べた範囲

この問いのために見た資料と、表に入れた・除いた理由を残す。 J-STAGE と Europe PMC で、大根おろしの苦味や辛味を、部位・品種・おろし方・時間で比べた研究を探し、研究所の台帳にある資料と合わせた(CiNii や学会の大会の要旨は探していない)。 人の評価の無い成分だけの研究も、苦い部位と辛味の成分の関係を考える材料として表に入れた。

資料扱い理由
おろし辛味大根の辛味特性について (1989) doi表に入れた部位と品種の苦味、おろし方・時間・調味料の辛味。全文で読んだ
大根おろし辛味成分の消長について (1982) doi表に入れた部位と時間の辛味の成分。全文で読んだ
大根中の辛味成分の比色定量法 (1980) doi表に入れた根の部位と品種の辛味の成分。全文で読んだ
ダイコン品種の辛味成分含量 (1990) doi表に入れた品種の辛味(官能と成分)。苦味は測っていない。全文で読んだ
日本産辛味ダイコン主要品種の特性比較 (2023) doi表に入れた辛味ダイコンの品種の辛さ(官能と成分)。苦味は測っていない。全文で読んだ
辛味大根の辛味臭成分について (1989) doi表に入れず、文脈の資料として見た辛味のにおいの成分。「苦い金属臭」はにおいの描写で、味の苦味ではない。全文で読んだ
「蒜山こだわり大根」の味の特徴(岡山県農林水産総合センターの研究成果の資料)表に入れず、文脈の資料として見た官能で苦味を扱い、図 1 に苦味の官能の評点の点があるが、人数・尺度の定義・調製・部位・おろし方の記載が無く、数値の表も無い。味覚センサの値は図だけ。研究成果の資料(査読の有無の記載なし)。2 頁の資料を全部読んだ
Seasonal Effects of Glucosinolate and Sugar Content Determine the Pungency of Small-Type (Altari) Radishes (2022) doi表に入れず、文脈の資料として見た成分だけ。題は辛さで、本文は苦いとも書くが、人の評価の方法が無い(辛味と苦味の言葉が混ざる例)。全文で読んだ
Comparative Evaluation of the Texture, Taste, and Flavor of Different Varieties of White Radish (Raphanus sativus L.) (2025) doi表に入れず、文脈の資料として見た電子舌の苦味の値だけで、人の評価は無い。皮をむいた中央部を水と砕いて遠心した上澄みを測っていて、おろしを試食した研究ではない。全文の該当部分を読んだ
品種が異なる大根の品質特性と調理適性の解明 (2025) doi除いた辛味を pH の値で代えた器械の測定だけ。人の評価も苦味の測定も無い
煮大根の香気形成について (1991) doi除いた加熱した大根の香りの成分だけ
ダイコンのグルコシノレート含量の品種間差異 (1989)除いた品種のグルコシノレートの量。短冊に刻んだ試料の辛味の短い記述はあるが、人数・尺度・苦味の結果は無い
辛味ダイコン‘あきたおにしぼり’における在来品種F1化の効果 (2015) doi除いた苦味の官能の結果と、数値の官能の結果が無い
切り干し大根に油揚げを添加する伝統的な調理法において油揚げが嗜好性に与える効果の検証 (2020) doi表に入れず、文脈の資料として見た切り干し大根の煮物の苦味で、大根おろしではない
いか大根(キッコーマン ホームクッキング) (2023)表に入れず、文脈の資料として見た料理の記録で、比べた測定は無い

図鑑で読む

出典台帳

表の各研究の出典は、研究ごとの欄からたどれる。研究所の全体の出典は出典台帳にまとめている。

この頁の引用のしかた

青木大(NIGAMI LAB)(2026). 大根おろしの苦味は、部位や品種・おろし方で変わるのか — 研究ごとの条件と結果. https://nigamilab.com/topics/daikon-grated-bitterness/

主張ごとの固定リンクは各カードの #clm-… です。データは CC BY 4.0、配布は データを使う。 データセットの DOI: 10.5281/zenodo.22739101