主題ハブ — 2026-10-21
砂糖や塩を足すと苦味は抑えられるのか
先に断っておくと、ここで答えるのは「苦い成分の量は同じまま、砂糖や塩を足すと、人が苦く感じにくくなるか」(味の抑え合い)で、苦い成分そのものを減らす下処理の話ではない。 作った料理が苦いとき、砂糖や塩を少し足すとよい、と言われることがある。 では、苦い液や食べ物に砂糖や塩を足して、人が苦味を比べた研究は何と答えているか。 この頁では、収録した研究を、苦味物質や食品・足した砂糖や塩の量・誰がどの尺度で評価したか、という条件と一緒に並べる。 塩を除くと成分も一緒に変わる比較や、砂糖や塩を含む食品を混ぜる試験は、それと分かるように分けて書く。 そのうえで、同じ実験の中で確かめられたことと、研究のあいだの違いから考えられる説明の候補と、 この比較だけでは分けられないことを、分けて書く。 ここで扱うのは苦味の感じ方の研究で、食事や健康の助言ではない。
このページの内容(10 節)
この頁でわかること
- 苦い成分の量が同じでも、塩を足すと苦味が下がった研究があり、その著者は主にナトリウムの働きと考えていること。ただし、キニーネの液に塩を足した比較には、組ごとの検定で有意な抑えが検出されなかったものや、検定の記載が無いものもあること。
- 砂糖を足しても苦味は下がったこと。硫酸キニーネの液を使った研究では、砂糖を入れない液と比べて組ごとの検定で有意だったが、塩酸キニーネの液を使った別の研究では図の値が低かったものの検定の記載は無いこと。プリンの研究では甘味も同時に上がり、砂糖を入れない対照は無かったこと。
- 砂糖と塩を同時に足した混合では、掲載の値はどちらか一方を足したときより低かったが、その差の検定は書かれておらず、どちらの効果かも分けられないこと。
- 砂糖や塩を含む食品を混ぜても苦味は下がったが、油脂を主な特徴として選ばれた無塩バターや生クリームでも下がり、砂糖や塩だけの効果とは分けられないこと。
- 研究のあいだでは苦味物質も尺度も違い、どれだけ下がるかの大きさは並べて比べられないこと。
収録した研究で言える範囲
- 苦い成分の量は同じまま塩を足すと、人が感じる苦味は下がった。カフェイン・キニーネ・尿素の液に NaCl を 5〜80 mM 足すと、どの苦味物質でも濃度が高いほど低く(P<.001)、KCl・CaCl2・MgCl2 の抑えは弱かった。著者は主にナトリウムの働きと考える。苦いアミノ酸の液でも NaCl 0.25%・0.5% で苦味は下がった(1% 水準で有意)。ただし、キニーネの液に NaCl を足した別の研究 2 本では、掲載の値は足した方が低かったものの、一方は検定の記載が無く(図の概算で約 1.65 から約 0.28)、もう一方は組ごとの検定で有意な抑えが検出されなかった(log の評点の図の概算で、足した:約 0.92、足さない:約 1.20)。 [表の行: 近藤ら 2026 NaCl 5〜80 mM の濃度の間/岡田ら 1997 NaCl 0.25%・0.5% 対 なし/Nakamura ら 2002 NaCl 300 mM 対 なし/Green ら 2010 NaCl 0.32 M 対 なし]
- 砂糖でも同じ向きだった。硫酸キニーネの液を使った研究では、ショ糖を足すと足さない液より苦味は低く、組ごとの検定で有意だった(log の評点の図の概算で、足した:約 0.82、足さない:約 1.20、p<0.05)。塩酸キニーネの液を使った別の研究でも、ショ糖を足すと苦味スコアは下がって見えたが、検定の記載は無い(図の概算で約 1.65 から約 0.0)。カカオの量が同じチョコレートプリンでショ糖を増やすと苦味は下がった(解析 1138 名、p<0.0001)が、ショ糖ゼロの対照は無く、甘味も同時に上がる。砂糖や塩を含む食品を混ぜる試験でも苦味は下がったが、油脂を主な特徴として選ばれた無塩バターや生クリームでも下がり、砂糖や塩だけの効果とは分けられない。 [表の行: Green ら 2010 ショ糖 0.56 M 対 なし/Nakamura ら 2002 ショ糖 750 mM 対 なし/Spinelli ら 2021 ショ糖 多い 対 少ない/須貝ら 2026 甘い・塩味の食品 対 水]
苦味の評価の一覧
人の苦味の評価の結果を抜き出した。「比べた群」と「比べた相手」の値は、論文の表や本文のまま(値が図だけのものはそう書き、図から目で読んだ値は「図の概算」とした)。 味の抑え合いの行のほか、塩を除いた比較と食品を混ぜる試験の行も、それと分かるように入れた。抄録だけの研究は、抄録に書かれた向きだけを載せた。検定の記載が無い行は、値の大小を向きとして書き、差が有意だったとは読まない。 「向き」はどちらが苦かったかで書いた。差が有意かどうかは「向き・検定」の欄の検定の段で見る。研究名を押すと、条件の詳しい表へ移る。
人が苦味を評価した結果だけを抜き出した一覧。値の出所(表の値か図からの目測か)は各行に書いた。研究ごとに尺度も測り方も違うので、行の中で比べ、行どうしは比べない。
| 研究 | 比べた組・条件 | 測り方 | 足した条件 | 足さない・少ない条件 | 向き・検定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 近藤ら 2026 | NaCl 5〜80 mM の濃度の間 カフェイン・キニーネ・尿素の溶液に NaCl を足す(抑え合い) | 基準溶液の番号(0〜−7、10 名) | 濃度が高いほど低い(値は図だけ) | 低い濃度ほど高い(基準は NaCl を含まない溶液で 0) | 足さない・少ない条件の方が苦い 検定あり・有意 |
| Kondoh 2026 | NaCl 0.1% 対 なし 4% L-ヒスチジン、クレアチニンを先に含まない条件(抑え合い) | 10 点のうち苦味に配った点の平均±SD(12 名) | 3.92±1.51 | 6.58±1.44 | 足さない・少ない条件の方が苦い 検定あり・有意 |
| 岡田ら 1997 | NaCl 0.25%・0.5% 対 なし 苦いアミノ酸の液に NaCl を足す(抑え合い) | Scheffé の一対比較の点(32 名) | 0.25%・0.5%(なしとの差の点の合計 50・54) | なし | 足さない・少ない条件の方が苦い 検定あり・有意 |
| 岡田ら 1997 | 脱塩しない液 対 脱塩した液 豆味噌の抽出液を脱塩(NaCl 1.2% → 0.02%)。窒素の成分と pH も変わった | 二点識別で苦いと判定した人数(8 名) | 1 名(NaCl 1.2%) | 7 名(NaCl 0.02%) | 足さない・少ない条件の方が苦い 検定あり・有意 |
| Nakamura ら 2002 | ショ糖 750 mM 対 なし 塩酸キニーネ 0.1 mM の液(10 mM KCl で調製)にショ糖 30・150・750 mMを足す(抑え合い) | 苦味スコア 0〜4(塩酸キニーネ 0.01〜1 mM の標準液に対応。大きいほど苦い。11 名の平均) | 約 0.0(図 1A の概算) | 約 1.65(足していない対照。図 1A の概算) | 足さない・少ない条件の方が苦い 検定の記載なし |
| Nakamura ら 2002 | NaCl 300 mM 対 なし 塩酸キニーネ 0.1 mM の液(10 mM KCl で調製)にNaCl 30・150・300 mMを足す(抑え合い) | 苦味スコア 0〜4(塩酸キニーネ 0.01〜1 mM の標準液に対応。大きいほど苦い。11 名の平均) | 約 0.28(図 1A の概算) | 約 1.65(足していない対照。図 1A の概算) | 足さない・少ない条件の方が苦い 検定の記載なし |
| Green ら 2010 | ショ糖 0.56 M 対 なし 硫酸キニーネ 0.18 mM の水溶液にショ糖 0.56 Mを足した混合(抑え合い) | gLMS の評点を log10 にした値の平均(大きいほど苦い。35 名。図 1 の概算) | 約 0.82(図 1 の概算) | 約 1.20(硫酸キニーネだけ。図 1 の概算) | 足さない・少ない条件の方が苦い 検定あり・有意 |
| Green ら 2010 | NaCl 0.32 M 対 なし 硫酸キニーネ 0.18 mM の水溶液にNaCl 0.32 Mを足した混合(抑え合い) | gLMS の評点を log10 にした値の平均(大きいほど苦い。35 名。図 1 の概算) | 約 0.92(図 1 の概算) | 約 1.20(硫酸キニーネだけ。図 1 の概算) | 足さない・少ない条件の方が苦い 検定あり・有意差なし |
| Green ら 2010 | ショ糖と NaCl を同時に 対 なし(砂糖だけ・塩だけの効果ではない) 硫酸キニーネ 0.18 mM の水溶液にショ糖 0.56 M と NaCl 0.32 M を同時に足した混合(抑え合い) | gLMS の評点を log10 にした値の平均(大きいほど苦い。35 名。図 1 の概算) | 約 0.43(図 1 の概算) | 約 1.20(硫酸キニーネだけ。図 1 の概算) | 足さない・少ない条件の方が苦い 検定あり・有意 |
| Spinelli ら 2021 | ショ糖 多い 対 少ない 同じカカオ量のチョコレートプリンでショ糖を 4 段階(抑え合い) | gLMS(解析 1138 名) | 下がった(値は図だけ) | 値は図だけ | 足さない・少ない条件の方が苦い 検定あり・有意 |
| Mennella ら 2015 | ショ糖 あり 対 なし 5 種の苦味物質の溶液、子どもと大人(抑え合い) | 強制選択の一対比較、大人は gLMS も(抄録) | 下がった(抄録の記述、値なし) | 値は抄録に無い | 足さない・少ない条件の方が苦い 検定の記載なし |
| Keast ら 2004 | ナトリウム塩 あり 対 なし 苦味物質の単独と二成分の混合(抑え合い) | 記載なし(抄録に無い) | テトラロン以外は苦味物質によって違う程度で下がった(抄録の記述) | 値は抄録に無い | 組み合わせで変わる 検定の記載なし |
| 城戸ら 2019 | 練乳・海苔のつくだ煮 対 水(スクリーニング) 生薬の粉末に食品を混ぜる(砂糖や塩だけでなく食品ごとの比較) | 1〜5 点の平均(20 名) | 2.8(練乳)・2.1(海苔のつくだ煮) | 4.1 | 足さない・少ない条件の方が苦い 検定あり・有意 |
| 須貝ら 2026 | 甘い・塩味の食品 対 水 ゴーヤ粉末に食品を混ぜる(砂糖や塩だけでなく食品ごとの比較) | 0〜10 の 11 段階の中央値(中学生 40 名・教員 23 名) | 有意に低い(値は図だけ) | 8(中学生)・6(教員) | 足さない・少ない条件の方が苦い 検定あり・一部の組だけ有意 |
研究ごとの条件と結果
研究ごとに、苦味物質や食品・足したもの・出し方・評価した人の条件と、測った結果を並べる。行の単位は「研究×測定結果」で、 同じ研究の中の別の比較は別の行にした。各行の下に、論文での位置と、 その行が「苦い成分の量は同じまま、砂糖や塩を足すと人が感じる苦味が下がるか」の比較に使えるかを、理由と一緒に書いた。 空欄にせず、「記載なし」(論文に書かれていない)、「読んでいない」、「該当しない」を書き分けている。
近藤ら 2026 官能だけ
苦味に対する NaCl および塩化合物の抑制作用 (Suppression of bitterness by NaCl and various salts). 近畿大学農学部紀要 59:19-36 — doi:10.15100/0002004296
- 原文の確認の深さ
- 全文で確認 — 大学リポジトリの PDF 全文(方法・結果、図 2〜5)。値は図だけで、図は目で読んだが表には写していない 確かめた者: LLM(読み取りの係が抜き出し、別の者が原典で照合。人の確認は無い)、2026-10-21。
- 試料
- 苦味物質の水溶液: カフェイン 30 mM・キニーネ塩酸塩 0.25 mM・尿素 600 mM。足したもの: NaCl 5・10・20・40・80 mM、ほかの Na 塩・Cl 塩(KCl・CaCl2・MgCl2。CaCl2・MgCl2・Na2SO4 は化合物の濃度が半分)・Na も Cl も無い塩・NMDG の塩、糖(ソルビトール 90 mM・グルコース 65 mM)。ショ糖は使っていない
- 加工・調理
- 該当しない(溶液に足しただけ)
- 出し方・食べ方
- 室温、5 秒含んで吐き出す。1 日 10 試料まで
- 誰が・どの尺度で
- 味の試験の訓練歴がある女子学生・大学院生 10 名。苦味物質を 1.2 倍ずつ薄めた 8 本の基準溶液と比べて同じ強さの番号をつける(0〜−7)。二元配置の反復測定分散分析と Bonferroni
| 測ったもの | 比べた組・条件 | 足した条件 | 足さない・少ない条件 | 単位 | 向き・検定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 苦味の強さ(官能) | NaCl 5〜80 mM の濃度の間 カフェイン・キニーネ・尿素の溶液に NaCl を足す(抑え合い) | 濃度が高いほど低い(値は図だけ) | 低い濃度ほど高い(基準は NaCl を含まない溶液で 0) | 基準溶液の番号(0〜−7、10 名) | 足さない・少ない条件の方が苦い 検定あり・有意 |
| NaCl の濃度の効果(5 濃度の間)は F(4,36)=111.406、P<.001。各濃度となしとの組ごとの検定は書かれていない。苦味物質の種類による違いは有意でない。ほかの Na 塩では塩の種類の間に有意差は見つからなかった。KCl・CaCl2・MgCl2 はどの濃度でも平均 1.0 以下の弱い抑えだった(CaCl2・MgCl2・Na2SO4 は化合物の濃度が半分)。糖(ソルビトール 90 mM・グルコース 65 mM)も 0 より有意に下げた(P<.001) 原典の位置: 3.1〜3.4 節・図 2〜5 苦い成分の量は同じまま、砂糖や塩を足すと人が感じる苦味が下がるかの比較に: 使える — 苦い成分の量を同じにして NaCl の量だけを変え、人が苦味を比べた | |||||
Kondoh 2026 官能だけ
Pre-treatment with creatinine alters the perceived bitterness–sweetness balance of L-histidine in young Japanese female participants. Chemical Senses 2026:bjag025 — doi:10.1093/chemse/bjag025
- 原文の確認の深さ
- 全文で確認 — Europe PMC の全文(NaCl を足す節・図 4) 確かめた者: LLM(読み取りの係が抜き出し、別の者が原典で照合。人の確認は無い)、2026-10-21。
- 試料
- 4% L-ヒスチジン(258 mM)の水溶液に NaCl 0.1%(17 mM)を足す。クレアチニンを先に 5 秒含んで飲み込む条件と含まない条件
- 加工・調理
- 該当しない(溶液に足しただけ)
- 出し方・食べ方
- 約 23 °C、10 mL を 5 秒含んで飲み込む
- 誰が・どの尺度で
- 味の訓練歴がある女子学生 12 名。10 点を苦味・甘味・その他に配分(強さではなく配分)。二元配置の反復測定分散分析と Bonferroni(NaCl の有無の比較)、苦味と甘味の比較は対応のある t 検定
| 測ったもの | 比べた組・条件 | 足した条件 | 足さない・少ない条件 | 単位 | 向き・検定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 苦味が目立つか(官能) | NaCl 0.1% 対 なし 4% L-ヒスチジン、クレアチニンを先に含まない条件(抑え合い) | 3.92±1.51 | 6.58±1.44 | 10 点のうち苦味に配った点の平均±SD(12 名) | 足さない・少ない条件の方が苦い 検定あり・有意 |
| P<0.001(分散分析のあと Bonferroni)。甘味の点は 3.33 から 4.25 に上がった(P<0.05)。強さでなく配分なので、苦味の強さが下がったか甘味が上がったかは分けられないと著者は書く 原典の位置: NaCl を足す節・図 4 苦い成分の量は同じまま、砂糖や塩を足すと人が感じる苦味が下がるかの比較に: 限られる — NaCl だけを変えたが、測ったのは 10 点の配分で強さではない | |||||
岡田ら 1997 官能だけ
豆味噌の苦味に及ぼす食塩の影響 (Effect of Sodium Chloride on Bitterness of Desalted Soybean Miso). 日本食品科学工学会誌 44(4):259-264 — doi:10.3136/nskkk.44.259
- 原文の確認の深さ
- 全文で確認 — J-STAGE の PDF 全文(表 1〜5 は画像を目で読んだ) 確かめた者: LLM(読み取りの係が抜き出し、別の者が原典で照合。人の確認は無い)、2026-10-21。
- 試料
- 試験ごとに違う: 苦いアミノ酸 5 種の混液(各 100 mg/100 mL)に NaCl 0.25・0.5%(一対比較)、無塩の豆味噌の水溶性の部分に NaCl 0・0.25・0.5・1.0%(順位法)。別に、豆味噌の抽出液を電気透析で脱塩した(NaCl 1.2% → 0.02%)
- 加工・調理
- 脱塩では NaCl だけでなく窒素の成分も減り、pH も 5.2 から 4.7 に下がった
- 出し方・食べ方
- 溶液(温度は記載なし)
- 誰が・どの尺度で
- 試験ごとに違う: 順位法 30 名(20〜50 代の研究員、Friedman 検定)、一対比較 32 名(Scheffé 法)、脱塩の 2 点識別 8 名。訓練の記載なし
| 測ったもの | 比べた組・条件 | 足した条件 | 足さない・少ない条件 | 単位 | 向き・検定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 苦味の強さ(官能) | NaCl 0.25%・0.5% 対 なし 苦いアミノ酸の液に NaCl を足す(抑え合い) | 0.25%・0.5%(なしとの差の点の合計 50・54) | なし | Scheffé の一対比較の点(32 名) | 足さない・少ない条件の方が苦い 検定あり・有意 |
| なし・0.25%・0.5% の順に苦く、1% 水準で有意(表 4)。0.25% と 0.5% の差の点の合計は 14。無塩の豆味噌の液に NaCl 0〜1.0% を足した順位法(30 名)でも、0.25% 以上で多いほど苦味が弱まる傾向(表 3) 原典の位置: 表 3・4 苦い成分の量は同じまま、砂糖や塩を足すと人が感じる苦味が下がるかの比較に: 使える — 苦いアミノ酸の量を同じにして NaCl だけを足した | |||||
| どちらが苦いかを選んだ人数(官能) | 脱塩しない液 対 脱塩した液 豆味噌の抽出液を脱塩(NaCl 1.2% → 0.02%)。窒素の成分と pH も変わった | 1 名(NaCl 1.2%) | 7 名(NaCl 0.02%) | 二点識別で苦いと判定した人数(8 名) | 足さない・少ない条件の方が苦い 検定あり・有意 |
| 著者は 5% の危険率で脱塩した液が苦いと書く(検定の種類は書かれていない)。脱塩で NaCl のほか窒素の成分も減り pH も下がったので、NaCl の有無だけの比較ではない 原典の位置: 表 1 苦い成分の量は同じまま、砂糖や塩を足すと人が感じる苦味が下がるかの比較に: 限られる — 塩を除くと苦いと選ぶ人が増えたが、脱塩で窒素の成分と pH も変わり、苦い成分の量が同じとは言えない。数えたのはどちらが苦いかを選んだ人数 | |||||
Nakamura ら 2002 官能だけ
The effect of various substances on the suppression of the bitterness of quinine-human gustatory sensation, binding, and taste sensor studies. Chemical & Pharmaceutical Bulletin — doi:10.1248/cpb.50.1589
- 原文の確認の深さ
- 全文で確認 — J-STAGE の PDF 全 5 頁(方法・結果・図 1・図 2)。図 1A の値は頁の画像を拡大して目で読んだ(原典に数値の表は無い) 確かめた者: LLM(読み取りの係が抜き出し、別の者が原典で照合。人の確認は無い)、2026-10-23。
- 試料
- 塩酸キニーネ 0.1 mM の液(10 mM KCl で調製)に、ショ糖 30・150・750 mM、NaCl 30・150・300 mM を足した。ほかにアスパルテーム・ホスファチジン酸・タンニン酸も試したが、この表には入れていない
- 加工・調理
- 該当しない(溶液に足しただけ)
- 出し方・食べ方
- 5 mL を 15 秒含む。試料のあいだはうがいをして 20 分以上あける
- 誰が・どの尺度で
- 11 名。塩酸キニーネ 0.01・0.03・0.1・0.3・1 mM の標準液を苦味スコア 0〜4 として先に覚え、試料にスコアを付けた。図は平均±SEM。ショ糖・NaCl の比較の検定の方法は書かれていない
| 測ったもの | 比べた組・条件 | 足した条件 | 足さない・少ない条件 | 単位 | 向き・検定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 苦味の強さ(官能) | ショ糖 750 mM 対 なし 塩酸キニーネ 0.1 mM の液(10 mM KCl で調製)にショ糖 30・150・750 mMを足す(抑え合い) | 約 0.0(図 1A の概算) | 約 1.65(足していない対照。図 1A の概算) | 苦味スコア 0〜4(塩酸キニーネ 0.01〜1 mM の標準液に対応。大きいほど苦い。11 名の平均) | 足さない・少ない条件の方が苦い 検定の記載なし |
| ショ糖と NaCl を足した比較について、検定の方法も結果も本文に書かれていない(誤差の棒は SEM)。中間の濃度の図の概算は 30 mM 約 1.45、150 mM 約 0.65。スコア 0 は標準液 0.01 mM の苦さに当たり、苦味がまったく無いという意味ではない。抄録は約 80% の抑えに 800 mM が要ったと書く(濃度に換算した値)が、方法と図の 750 mM とは一致しない。苦味のほかの味は評価していない。著者は、キニーネはショ糖に結合せず(結合していないキニーネがほぼ 100%)、吸着による抑えではないとする(データは示されていない) 原典の位置: 方法(Gustatory Sensation Study)・図 1A・抄録 苦い成分の量は同じまま、砂糖や塩を足すと人が感じる苦味が下がるかの比較に: 限られる — 苦い成分(塩酸キニーネ)の量を同じにしてショ糖だけを足し、人が苦味を評価した。ただし検定の結果が書かれておらず、値は図の概算。水溶液の試験で、ほかの濃度や食品へは広げられない | |||||
| 苦味の強さ(官能) | NaCl 300 mM 対 なし 塩酸キニーネ 0.1 mM の液(10 mM KCl で調製)にNaCl 30・150・300 mMを足す(抑え合い) | 約 0.28(図 1A の概算) | 約 1.65(足していない対照。図 1A の概算) | 苦味スコア 0〜4(塩酸キニーネ 0.01〜1 mM の標準液に対応。大きいほど苦い。11 名の平均) | 足さない・少ない条件の方が苦い 検定の記載なし |
| 検定の方法も結果も本文に書かれていない(誤差の棒は SEM)。中間の濃度の図の概算は 30 mM 約 0.82、150 mM 約 0.55。抄録は 300 mM で約 80% の抑え(濃度に換算した値)と書く。苦味のほかの味(塩味)は評価していない。著者は、キニーネは NaCl に結合せず、吸着による抑えではないとする(データは示されていない) 原典の位置: 方法(Gustatory Sensation Study)・図 1A・抄録 苦い成分の量は同じまま、砂糖や塩を足すと人が感じる苦味が下がるかの比較に: 限られる — 苦い成分(塩酸キニーネ)の量を同じにして NaCl だけを足し、人が苦味を評価した。ただし検定の結果が書かれておらず、値は図の概算。水溶液の試験で、ほかの濃度や食品へは広げられない | |||||
Green ら 2010 官能だけ
Taste mixture interactions: suppression, additivity, and the predominance of sweetness. Physiology & Behavior 101(5):731-737 — doi:10.1016/j.physbeh.2010.08.013
- 原文の確認の深さ
- 全文で確認 — PMC の著者原稿(PMC2975745)の全文(方法・結果と考察)。図 1 の画像を取得して値を目で読んだ 確かめた者: LLM(読み取りの係が抜き出し、別の者が原典で照合。人の確認は無い)、2026-10-23。
- 試料
- ショ糖 0.56 M・NaCl 0.32 M・クエン酸 10 mM・硫酸キニーネ 0.18 mM の水溶液の単独と、すべての二成分・三成分・四成分の混合。この表には硫酸キニーネだけと、ショ糖か NaCl かその両方を足した混合を入れた
- 加工・調理
- 該当しない(溶液を混ぜただけ)
- 出し方・食べ方
- 37 ℃ の 5 mL を口に含んで 2 秒ゆすぎ、吐き出して評価(飲み込まない)。鼻を開けた回と鼻をつまんだ回を繰り返しとして扱った
- 誰が・どの尺度で
- 実験 1 は 35 名(19〜42 歳)。gLMS で甘味・塩味・酸味・苦味の順に評価。評点を log10 にして反復測定の分散分析、組ごとは Tukey HSD。実験 2 は 28 名で温度と評価の順を確かめた
| 測ったもの | 比べた組・条件 | 足した条件 | 足さない・少ない条件 | 単位 | 向き・検定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 苦味の強さ(官能) | ショ糖 0.56 M 対 なし 硫酸キニーネ 0.18 mM の水溶液にショ糖 0.56 Mを足した混合(抑え合い) | 約 0.82(図 1 の概算) | 約 1.20(硫酸キニーネだけ。図 1 の概算) | gLMS の評点を log10 にした値の平均(大きいほど苦い。35 名。図 1 の概算) | 足さない・少ない条件の方が苦い 検定あり・有意 |
| 苦味の全体の検定は反復測定の分散分析で F(7,245)=16.25、p<0.00001(硫酸キニーネだけと、それを含む混合 7 種)。組ごとは Tukey HSD で、本文は、二成分の混合で苦味が有意に抑えられたのはショ糖との混合だけと書き、図 1 にも *(p<0.05)が付く。図の印が何との比較かは図の説明に書かれておらず、本文と合わせて硫酸キニーネだけとの比較と読んだ(推測)。log の値の差は、苦味が減った割合ではない。混合液の詳しい調製の手順や濃度の実測は本文に示されていない 原典の位置: 結果と考察(Mixture Suppression)・図 1 の苦味の枠 苦い成分の量は同じまま、砂糖や塩を足すと人が感じる苦味が下がるかの比較に: 使える — 苦い成分(硫酸キニーネ)の量を同じにしてショ糖だけを足し、人が苦味を評価した。値は図の概算で、水溶液の試験 | |||||
| 苦味の強さ(官能) | NaCl 0.32 M 対 なし 硫酸キニーネ 0.18 mM の水溶液にNaCl 0.32 Mを足した混合(抑え合い) | 約 0.92(図 1 の概算) | 約 1.20(硫酸キニーネだけ。図 1 の概算) | gLMS の評点を log10 にした値の平均(大きいほど苦い。35 名。図 1 の概算) | 足さない・少ない条件の方が苦い 検定あり・有意差なし |
| 苦味の全体の検定は反復測定の分散分析で F(7,245)=16.25、p<0.00001(硫酸キニーネだけと、それを含む混合 7 種)。組ごとの Tukey HSD(p<0.05)で、本文は、二成分の混合で苦味が有意に抑えられたのはショ糖との混合だけと書き、図 1 でもこの棒に印は無い。NaCl との混合で有意な抑えは検出されなかったが、この組の p の値は書かれていない。掲載の値は足した方が低く、差が無いという意味ではない 原典の位置: 結果と考察(Mixture Suppression)・図 1 の苦味の枠 苦い成分の量は同じまま、砂糖や塩を足すと人が感じる苦味が下がるかの比較に: 使える — 苦い成分(硫酸キニーネ)の量を同じにして NaCl だけを足し、人が苦味を評価した。値は図の概算で、水溶液の試験 | |||||
| 苦味の強さ(官能) | ショ糖と NaCl を同時に 対 なし(砂糖だけ・塩だけの効果ではない) 硫酸キニーネ 0.18 mM の水溶液にショ糖 0.56 M と NaCl 0.32 M を同時に足した混合(抑え合い) | 約 0.43(図 1 の概算) | 約 1.20(硫酸キニーネだけ。図 1 の概算) | gLMS の評点を log10 にした値の平均(大きいほど苦い。35 名。図 1 の概算) | 足さない・少ない条件の方が苦い 検定あり・有意 |
| 砂糖と塩を同時に足した三成分の混合で、どちらか一方だけの効果は示さない。図 1 に **(p<0.01)。苦味の全体の検定は反復測定の分散分析で F(7,245)=16.25、p<0.00001(硫酸キニーネだけと、それを含む混合 7 種)。印が何との比較かは図の説明に無く、硫酸キニーネだけとの比較と読んだ(推測)。ショ糖だけの混合との差が有意かは、この印からは言えない。本文は、キニーネの苦味の抑えのほぼすべてをショ糖と NaCl で説明できると書く 原典の位置: 結果と考察(Mixture Suppression と、その後の三成分の混合の段落)・図 1 の苦味の枠 苦い成分の量は同じまま、砂糖や塩を足すと人が感じる苦味が下がるかの比較に: 限られる — 苦い成分の量は同じだが、砂糖と塩を同時に足したので、どちらの効果かは分けられない | |||||
Spinelli ら 2021 官能だけ
Phenol-Rich Food Acceptability: The Influence of Variations in Sweetness Optima and Sensory-Liking Patterns. Nutrients 13(3):866 — doi:10.3390/nu13030866
- 原文の確認の深さ
- 全文で確認 — Europe PMC の全文(方法 2.1〜2.4、結果 3.1、図 3)。値は図だけで、図は見ていない 確かめた者: LLM(読み取りの係が抜き出し、別の者が原典で照合。人の確認は無い)、2026-10-21。
- 試料
- チョコレートプリン(カカオ 40 g/kg は同じ)にショ糖 38・83・119・233 g/kg(図の説明では最大が 223 g/kg と食い違う)。ショ糖ゼロの対照は無い
- 加工・調理
- 粉を水に溶かして電子レンジで加熱し冷蔵
- 出し方・食べ方
- 室温で 15 g、スプーン 1 杯を 10 秒で飲み込む
- 誰が・どの尺度で
- イタリアの一般の 1208 名が参加し、甘さの好みの 3 群に分けた 1138 名を解析(70 名は群に入らず外れた)。訓練なし。苦味は gLMS。二元配置分散分析(群×濃度)と Bonferroni
| 測ったもの | 比べた組・条件 | 足した条件 | 足さない・少ない条件 | 単位 | 向き・検定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 苦味の強さ(官能) | ショ糖 多い 対 少ない 同じカカオ量のチョコレートプリンでショ糖を 4 段階(抑え合い) | 下がった(値は図だけ) | 値は図だけ | gLMS(解析 1138 名) | 足さない・少ない条件の方が苦い 検定あり・有意 |
| ショ糖の濃度の効果は F(3,4540)=654.99、p<0.0001。甘さの好みの 3 群すべてで、ショ糖が増えると苦味が下がり甘味が上がった。下がり方は群で違った(交互作用 F(6,4540)=15.94)。ショ糖ゼロの対照は無い 原典の位置: 結果 3.1・図 3 苦い成分の量は同じまま、砂糖や塩を足すと人が感じる苦味が下がるかの比較に: 限られる — 苦い成分(カカオ)の量を同じにしてショ糖の多い少ないを比べた。ショ糖ゼロの対照が無いので、何も入れないところから足したときのことには広げられない | |||||
Mennella ら 2015 官能だけ
"A spoonful of sugar helps the medicine go down": bitter masking by sucrose among children and adults. Chemical Senses 40(1):17-25 — doi:10.1093/chemse/bju053
- 原文の確認の深さ
- 要旨まで — 今回は抄録だけ(PMC の頁は確認画面で止まり、Europe PMC に全文 XML が無かった。台帳には以前に全文で確かめた記録がある) 確かめた者: LLM(読み取りの係が抜き出し、別の者が原典で照合。人の確認は無い)、2026-10-21。
- 試料
- 尿素・カフェイン・安息香酸デナトニウム・PROP・キニーネの 5 種にショ糖を足した(濃度は抄録に無い)
- 加工・調理
- 該当しない(溶液に足しただけ)
- 出し方・食べ方
- 記載なし(抄録に無い)
- 誰が・どの尺度で
- 子どもと大人。強制選択の一対比較、大人は gLMS も。人数は抄録に無い
| 測ったもの | 比べた組・条件 | 足した条件 | 足さない・少ない条件 | 単位 | 向き・検定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 苦味の強さ(官能) | ショ糖 あり 対 なし 5 種の苦味物質の溶液、子どもと大人(抑え合い) | 下がった(抄録の記述、値なし) | 値は抄録に無い | 強制選択の一対比較、大人は gLMS も(抄録) | 足さない・少ない条件の方が苦い 検定の記載なし |
| 抄録は、ショ糖が子どもと大人のどちらでも 5 種すべての苦味を抑え、大人の評価は中程度から弱いに下がったと書く。カフェインとキニーネでは、下がり方が甘味の受容体の型で違った。数値と検定は抄録に無い 原典の位置: 抄録 苦い成分の量は同じまま、砂糖や塩を足すと人が感じる苦味が下がるかの比較に: 限られる — 苦い成分を同じにしてショ糖を足したと抄録は書くが、値・人数・検定を今回は全文で確かめていない | |||||
Keast ら 2004 官能だけ
The influence of sodium salts on binary mixtures of bitter-tasting compounds. Chemical Senses 29(5):431-439 — doi:10.1093/chemse/bjh045
- 原文の確認の深さ
- 要旨まで — 抄録だけ(全文は購読の壁) 確かめた者: LLM(読み取りの係が抜き出し、別の者が原典で照合。人の確認は無い)、2026-10-21。
- 試料
- 5 種の苦味物質の単独と 2 成分の混合に、100 mM NaCl などのナトリウム塩やショ糖を足した
- 加工・調理
- 該当しない(溶液に足しただけ)
- 出し方・食べ方
- 記載なし(抄録に無い)
- 誰が・どの尺度で
- 人数・尺度は抄録に無い
| 測ったもの | 比べた組・条件 | 足した条件 | 足さない・少ない条件 | 単位 | 向き・検定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 苦味の強さ(官能) | ナトリウム塩 あり 対 なし 苦味物質の単独と二成分の混合(抑え合い) | テトラロン以外は苦味物質によって違う程度で下がった(抄録の記述) | 値は抄録に無い | 記載なし(抄録に無い) | 組み合わせで変わる 検定の記載なし |
| 抄録は、ナトリウム塩が苦味物質ごとに違う程度で抑え、テトラロンとそれを含む混合は抑えなかったと書く。混合の苦味はナトリウム塩とショ糖で別々に抑えられたとも書く 原典の位置: 抄録 苦い成分の量は同じまま、砂糖や塩を足すと人が感じる苦味が下がるかの比較に: 限られる — 苦い成分を同じにしてナトリウム塩を足したと抄録は書くが、値・人数・検定を全文で確かめていない | |||||
城戸ら 2019 官能だけ
食品による生薬製剤のマスキング効果. 日本食品化学学会誌 26(1):68-76 — doi:10.18891/jjfcs.26.1_68
- 原文の確認の深さ
- 全文で確認 — J-STAGE の全文(結果、表 1、図 1〜4) 確かめた者: LLM(読み取りの係が抜き出し、別の者が原典で照合。人の確認は無い)、2026-10-21。
- 試料
- ガジュツを主とする生薬製剤の粉末 1 g に、水 20 mL(対照)か食品 20 mL・20 g を混ぜた。食品は 30 品(練乳・アイス・ピーナッツクリーム・海苔のつくだ煮・みそ汁など)
- 加工・調理
- 該当しない(混ぜただけ)
- 出し方・食べ方
- スプーン 1 さじを 5 秒含んで飲み込み、水でうがい。アイスは冷やし、ほかは室温
- 誰が・どの尺度で
- 3 つの試験がある。スクリーニング: 学生・教員 25 名のうち 20 名で解析(苦味を感じにくかったと推定された 2 名と、データに欠損のあった 3 名を除いた)。30 品をキニーネ標準の苦味 1〜5 点で、水と混ぜた生薬製剤と比べた。図 3 の確認: 粉薬用服薬ゼリーと生薬製剤単独を同じ 5 段階で比べた(16 名)。本試験(図 4): 39 名に五味の識別検査をして選んだ 20 名が、服薬ゼリーと食品 5 品を、生薬製剤単独の苦味を 0 とする −4〜+4 の 9 段階で評価し、3 回繰り返した。検定は Wilcoxon の符号付順位検定と Bonferroni の補正(両側。片側の結果も一部に記載)
| 測ったもの | 比べた組・条件 | 足した条件 | 足さない・少ない条件 | 単位 | 向き・検定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 苦味の強さ(官能) | 練乳・海苔のつくだ煮 対 水(スクリーニング) 生薬の粉末に食品を混ぜる(砂糖や塩だけでなく食品ごとの比較) | 2.8(練乳)・2.1(海苔のつくだ煮) | 4.1 | 1〜5 点の平均(20 名) | 足さない・少ない条件の方が苦い 検定あり・有意 |
| 水と混ぜた対照より有意に低い(両側、Bonferroni の補正後)。ほかにアイス 2 種とピーナッツクリームも有意に低い。ミルクココアは有意に下げなかった。著者は、効いた食品は味が濃く粘りが強く、製剤を覆うためと考えているが、確かめてはいない 原典の位置: 結果・図 1 苦い成分の量は同じまま、砂糖や塩を足すと人が感じる苦味が下がるかの比較に: 限られる — 食品ごとの比較で、砂糖や塩だけの効果ではない(脂や粘りも一緒に違う) | |||||
須貝ら 2026 官能だけ
服薬アドヒアランス向上を目的とした中学生の食品による苦味マスキング官能評価 (Sensory Evaluation of Food-Based Bitterness Masking in Junior High School Students Aimed at Improving Medication Adherence). 医療薬学 (Japanese Journal of Pharmaceutical Health Care and Sciences) 52(7):403-414 — doi:10.5649/jjphcs.52.403
- 原文の確認の深さ
- 全文で確認 — J-STAGE の全文(結果、表 1、図 3・5)。食品ごとの値は図だけで、図は見ていない 確かめた者: LLM(読み取りの係が抜き出し、別の者が原典で照合。人の確認は無い)、2026-10-21。
- 試料
- ゴーヤ粉末 1.0 g に、常温の水(対照)か食品 10 mL・10 g を混ぜた。食品は 9 品(チョコレートシロップ・練乳・こしあん・のり佃煮・みそ汁・レモンジュース・無糖ヨーグルト・生クリーム・無塩バター)
- 加工・調理
- 該当しない(混ぜただけ)
- 出し方・食べ方
- 約 1 mL・1 g を 5 秒含み、原則は吐き出す。全員同じ順で、盲検でない
- 誰が・どの尺度で
- 中学生 40 名と教員 23 名。苦味は 0〜10 の 11 段階。Friedman 検定、Wilcoxon の符号付順位検定と Holm 補正
| 測ったもの | 比べた組・条件 | 足した条件 | 足さない・少ない条件 | 単位 | 向き・検定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 苦味の強さ(官能) | 甘い・塩味の食品 対 水 ゴーヤ粉末に食品を混ぜる(砂糖や塩だけでなく食品ごとの比較) | 有意に低い(値は図だけ) | 8(中学生)・6(教員) | 0〜10 の 11 段階の中央値(中学生 40 名・教員 23 名) | 足さない・少ない条件の方が苦い 検定あり・一部の組だけ有意 |
| 中学生ではチョコレートシロップ・のり佃煮・みそ汁・練乳・こしあん・無塩バター・生クリームの 7 品で有意に低く(Holm 補正後 P<0.001)、レモンジュースと無糖ヨーグルトは有意差なし。教員は 9 品すべてで有意に低い。油脂を主な特徴として選ばれた無塩バター・生クリームでも下がった 原典の位置: 結果・図 5 苦い成分の量は同じまま、砂糖や塩を足すと人が感じる苦味が下がるかの比較に: 限られる — 食品ごとの比較で、砂糖や塩だけの効果ではない。盲検でなく、全員同じ順 | |||||
実験の中で確かめられたこと
同じ研究の中で、同じ評価者が条件を変えて比べた結果だけを書く。
- 同じ 10 名が、カフェイン・キニーネ・尿素の液に NaCl を 5〜80 mM 足して比べると、苦味は NaCl の濃度が高いほど低かった(濃度の効果 F(4,36)=111.406、P<.001)。苦味物質の種類による違いは有意でなく、KCl・CaCl2・MgCl2 はどの濃度でも平均 1.0 以下の弱い抑えだった。 [表の行: 近藤ら 2026 NaCl 5〜80 mM の濃度の間]
- 苦いアミノ酸の液に NaCl を足すと、なし・0.25%・0.5% の順に苦く(32 名、1% 水準で有意)、無塩の豆味噌の液でも NaCl 0.25% 以上で多いほど苦味が弱まる傾向だった(30 名)。 [表の行: 岡田ら 1997 NaCl 0.25%・0.5% 対 なし]
- 同じ 35 名が、硫酸キニーネ 0.18 mM の液と、それにショ糖 0.56 M や NaCl 0.32 M を足した混合の苦味を比べると、硫酸キニーネだけと、それを含む混合 7 種(クエン酸入りも含む)の全体の検定は有意で(F(7,245)=16.25、p<0.00001)、組ごとの検定で苦味が有意に抑えられた二成分の混合はショ糖との混合だけだった(約 1.20 から約 0.82、p<0.05)。NaCl との混合(約 0.92)では有意な抑えは検出されなかった。ショ糖と NaCl を同時に足した混合は約 0.43(p<0.01)だったが、どちらの効果かは分けられない。値は log の評点の図の概算。 [表の行: Green ら 2010 ショ糖 0.56 M 対 なし/Green ら 2010 NaCl 0.32 M 対 なし/Green ら 2010 ショ糖と NaCl を同時に 対 なし(砂糖だけ・塩だけの効果ではない)]
- カカオの量が同じチョコレートプリンでショ糖を 4 段階に増やすと、解析した 1138 名の苦味は下がった(F(3,4540)=654.99、p<0.0001)。甘さの好みの 3 群すべてで下がったが、下がり方は群で違った(F(6,4540)=15.94)。 [表の行: Spinelli ら 2021 ショ糖 多い 対 少ない]

食塩を足す量: 少ない ← → 多い
苦い成分の量が同じ液に食塩を足していくと、足すほど苦味が低く評価された研究。塩の山の大きさと印の紫の濃淡は順序だけを示し、塩の量の比や苦味の差の大きさを表すものではない。隣どうしの段の差がそれぞれ有意だったという意味でもない。食塩の溶液の試験で、砂糖や食べ物の図ではない。紫は実際の色ではない。
出典: 近藤ほか 2026(表の「研究ごとの条件と結果」の近藤ら 2026)
説明図: イラスト係(PurpleHeron)
結果の違いの説明の候補
研究のあいだ、または試料のあいだで違う条件のうち、苦味の違いを説明しうるもの。 複数の条件が同時に違うので、どれが効いたかは分からない。ここに書くのは候補で、原因ではない。
- 塩の効き目の説明の候補は、塩味そのものより、ナトリウムが苦味を抑える働き。NaCl 以外のナトリウム塩でも塩の種類の間に有意差は見つからず、KCl・CaCl2・MgCl2 は平均 1.0 以下の弱い抑えにとどまった。この官能の比較だけでは、どこでどう抑えるかは特定できない。キニーネの研究の著者は、結合試験でキニーネがショ糖や NaCl に結合しなかったと報告し(データは論文に載っていない)、人工味覚センサでも検討したが、人での仕組みや寄与の割合を直接確かめたものではなく、人での仕組みは確定していない。 [表の行: 近藤ら 2026 NaCl 5〜80 mM の濃度の間/Nakamura ら 2002 NaCl 300 mM 対 なし/Nakamura ら 2002 ショ糖 750 mM 対 なし]
- 苦味が下がる理由には、味どうしの抑え合いのほか、甘味や別の味が増えて苦味の取り分が減ることもありうる。L-ヒスチジンでは NaCl 0.1% で苦味の取り分が 6.58 から 3.92 に下がり、甘味の取り分は 3.33 から 4.25 に上がったが、配分なので強さが下がったのかは分けられない。 [表の行: Kondoh 2026 NaCl 0.1% 対 なし]
- 砂糖や塩の効き目は、足した量によって違いうる。塩酸キニーネの液では、ショ糖 30・150・750 mM、NaCl 30・150・300 mM と量を増やすほど苦味スコアが下がって見えた(図の概算)が、検定の記載は無い。著者は抄録で、比較的高い濃度で効いたと書く。研究のあいだで NaCl の効き方が違って見えるのに、量・苦味物質・尺度の違いがどこまで関わるかは、収録した研究では確かめていない。 [表の行: Nakamura ら 2002 ショ糖 750 mM 対 なし/Nakamura ら 2002 NaCl 300 mM 対 なし/Green ら 2010 NaCl 0.32 M 対 なし/近藤ら 2026 NaCl 5〜80 mM の濃度の間]
分かっていないこと——この比較だけでは分けられないこと
- 研究のあいだでは、苦味物質・足した量・尺度(基準溶液の番号・苦味スコア・一対比較・log にした gLMS の評点・gLMS・配分・選んだ人数)・人数が違い、どれだけ下がるかの大きさは並べて比べられない。値を図から読んだ行は概算で、検定の記載が無い行もある。塩を除いた豆味噌の比較は、窒素の成分や pH も変わっていて、塩の有無だけの効果とは分けられない。砂糖と塩を同時に足した混合も、どちらの効果かは分けられない。 [表の行: 近藤ら 2026 NaCl 5〜80 mM の濃度の間/岡田ら 1997 脱塩しない液 対 脱塩した液/Spinelli ら 2021 ショ糖 多い 対 少ない/Nakamura ら 2002 ショ糖 750 mM 対 なし/Green ら 2010 ショ糖 0.56 M 対 なし/Green ら 2010 ショ糖と NaCl を同時に 対 なし(砂糖だけ・塩だけの効果ではない)]
- 食品に混ぜる試験は、砂糖や塩のほか脂や粘りも一緒に違い、どれが効いたかは分けられない。苦い成分そのものが減ったのか、感じにくくなっただけなのかも、食品の試験では分けられない。 [表の行: 城戸ら 2019 練乳・海苔のつくだ煮 対 水(スクリーニング)/須貝ら 2026 甘い・塩味の食品 対 水]
研究と行の数え方
根拠の行の数は、研究の数ではない。表の行・台帳の根拠の行・論文・研究グループを分けて数える。
- 表に入れた資料: 10 本。うち人が評価した苦味の結果をこの表に載せたのは 10 本。ほかは、別のもの(成分・におい)の結果だけを載せたか、条件を考える材料として入れた。
- 表の行(研究×測定結果): 14 行。うち人が感じる苦味の行: 14 行。
- この表が拠っている研究所の台帳の根拠の行: 0 行。1 本の論文から複数の行を作っている。台帳の根拠の行が無い行は、同じ論文の別の表から取った値か、この問いのために新しく読んだ資料の値である。
- 苦味の結果を載せた研究の、台帳の上の研究グループの区分の数: 9(同じ研究室の報告は 1 つと数えた。共著者や所属が重なる所もあり、独立した追試の数ではない)。
調べた範囲
この問いのために見た資料と、表に入れた・除いた理由、全文に当たれなかった資料を残す。 Europe PMC と J-STAGE で、砂糖や塩を足して人が苦味を比べた研究を探し、研究所の台帳にある資料と合わせた(CiNii は探していない)。 全文の頁が確認画面で止まったものや有料のものは、抄録だけで読んだと書いた。 要旨だけで読んだ研究のうち、値や検定が要旨に無いものは数値の行にせず、要旨に書かれていることと扱いの理由をこの表に残した。
| 資料 | 扱い | 理由 |
|---|---|---|
| 苦味に対する NaCl および塩化合物の抑制作用 (Suppression of bitterness by NaCl and various salts) (2026) doi | 表に入れた | NaCl と各種の塩を苦味物質の液に足した。全文で読んだ |
| Pre-treatment with creatinine alters the perceived bitterness–sweetness balance of L-histidine in young Japanese female participants (2026) doi | 表に入れた | NaCl を足した部分の実験。全文で読んだ |
| 豆味噌の苦味に及ぼす食塩の影響 (Effect of Sodium Chloride on Bitterness of Desalted Soybean Miso) (1997) doi | 表に入れた | NaCl を足した液と脱塩した液。全文で読んだ |
| The effect of various substances on the suppression of the bitterness of quinine-human gustatory sensation, binding, and taste sensor studies (2002) doi | 表に入れた | 塩酸キニーネの液にショ糖・NaCl を足した。全文で読み、図 1A の値を目で読んだ。アスパルテーム(別の甘味料)の行は入れていない(中間の濃度が本文と図の説明で食い違う)。図 2 は濃度に換算した値で、別の行にしていない |
| Taste mixture interactions: suppression, additivity, and the predominance of sweetness (2010) doi | 表に入れた | 硫酸キニーネの液にショ糖・NaCl を足した混合。PMC の著者原稿の全文で読み、図 1 の値を目で読んだ。クエン酸(酸味)も一緒に入る混合は入れていない |
| Phenol-Rich Food Acceptability: The Influence of Variations in Sweetness Optima and Sensory-Liking Patterns (2021) doi | 表に入れた | 同じカカオ量でショ糖を変えたプリン。全文で読んだ |
| "A spoonful of sugar helps the medicine go down": bitter masking by sucrose among children and adults (2015) doi | 表に入れた | ショ糖を足した溶液。今回は抄録だけで読んだ |
| The influence of sodium salts on binary mixtures of bitter-tasting compounds (2004) doi | 表に入れた | ナトリウム塩とショ糖を足した溶液。抄録だけで読んだ |
| 食品による生薬製剤のマスキング効果 (2019) doi | 表に入れた | 食品を混ぜた比較。全文で読んだ |
| 服薬アドヒアランス向上を目的とした中学生の食品による苦味マスキング官能評価 (Sensory Evaluation of Food-Based Bitterness Masking in Junior High School Students Aimed at Improving Medication Adherence) (2026) doi | 表に入れた | 食品を混ぜた比較。全文で読んだ |
| Suppression of bitterness by sodium: variation among bitter taste stimuli (1995) doi | 表に入れず、文脈の資料として見た | 塩を 0〜0.5 M、尿素・キニーネなどの苦味物質に足した設計。要旨だけで読み、値・人数・検定が要旨に無いので数値の行にしていない。要旨は、多くの組で塩が苦味を抑えたが程度は違い、尿素の苦味は NaCl・酢酸 Na・グルコン酸 Na・Li 塩で抑えられ KCl では抑えられなかった、尿素の苦味の抑えの程度は塩の塩味の強さだけでは説明できなかった、と書く |
| Sensory Quality of Functional Beverages: Bitterness Perception and Bitter Masking of Olive Leaf Extract Fortified Fruit Smoothies (2010) doi | 表に入れず、文脈の資料として見た | オリーブ葉の抽出物を入れた果実スムージーにショ糖・NaCl・シクラミン酸 Na を足した。要旨だけで読んだ。要旨は、ショ糖で苦味の知覚が 24.9% 減り、NaCl は苦味を効果的にマスクできなかったと書くが、足した量・比べた両方の評点・検定の結果は要旨に無いので、数値の行にしていない。減った割合の基準も要旨からは確かめられない |
| Binary taste mixture interactions in PROP non-tasters, medium-tasters and super-tasters (2001) doi | 全文に当たれない | ショ糖とキニーネ、NaCl とキニーネの混合で、設計は問いに入る。要旨が書くのはキニーネが甘味を抑えた結果などで、砂糖や塩でキニーネの苦味が下がったかは要旨に無い。全文に当たれず保留 |
| Sodium Chloride Suppresses Vegetable Bitterness Only When Plain Vegetables Are Perceived as Highly Bitter (2014) doi | 全文に当たれない | 野菜に NaCl を足した研究。今回の保存資料には全文も要旨も無く(出版社の頁は確認画面で止まった)、保留。第三者の要約の値は写していない |
| Sweet-bitter taste interactions in binary mixtures of sweeteners: Relationship between taste receptor activities and sensory perception (2024) doi | 全文に当たれない | 苦味のある甘味料(アセスルファム K・サッカリン)にショ糖などの糖や別の甘味料を混ぜた。苦い成分の量を同じにした比較かを要旨では確かめられず、全文に当たれないので保留 |
| Sweetness-independent bitterness suppression of rebaudioside A by sucrose in a cocoa model (2026) doi | 除いた | ココア風味のモデルで、ショ糖とレバウジオシド A を混ぜて出すか舌の左右に分けて出すかを比べた。どちらの条件にもショ糖が入り、足した・足さないの比較ではない。出し方と抑えの仕組みの参考 |
| 閾値以下の苦味はうま味強度と後味に影響を与えた (2011) doi | 除いた | 閾値以下の苦味物質を足したときのうま味の強さと後味を測った学会要旨で、砂糖や塩を足して苦味を測った研究ではない |
| Interactions in caffeine–sucrose and coffee–sucrose mixtures: evidence of taste and flavor suppression (1990) doi | 全文に当たれない | カフェインとショ糖の混合。全文も抄録も手に入らなかった |
| Consumer Rejection Threshold of Mung Bean Protein Hydrolysate: Unsweetened and Sweetened Brewed Teas as Test Models (2026) doi | 除いた | ショ糖入りで受け入れの濃度が上がったが、測ったのは受け入れと好みで苦味の強さではない |
| Saltiness and Bitterness Perception of KCl-Based Mixed Salts (KCl/NaCl/L-Arginine) Evaluated by the R-Index and Partial Projective Mapping Methods (2026) doi | 除いた | KCl と NaCl の比が同時に変わり L-アルギニンも入っていて、苦い成分の量を同じにして NaCl だけを変えた比較でない |
図鑑で読む
- 味の抑え合い — ある味が別の味を弱める現象
- 食塩(塩化ナトリウム) — 足した塩
- ピーマンの苦味は、油やマヨネーズ・乳製品で和らぐのか — 油や乳製品で苦味が和らぐかを比べた頁
- チーズの苦味は、熟成とスターター(乳酸菌)の選び方で変わるのか — 同じ形の比較の頁
出典台帳
表の各研究の出典は、研究ごとの欄からたどれる。研究所の全体の出典は出典台帳にまとめている。
この頁の引用のしかた
青木大(NIGAMI LAB)(2026). 砂糖や塩を足すと苦味は抑えられるのか — 研究ごとの条件と結果. https://nigamilab.com/topics/sugar-salt-suppression/
主張ごとの固定リンクは各カードの #clm-… です。データは CC BY 4.0、配布は データを使う。 データセットの DOI: 10.5281/zenodo.22739101