下処理帳 — 苦味を引く側。この帳面は苦味だけを見る
緑茶(浸出液)の下処理帳
緑茶(浸出液)(図鑑の項目)の下処理を方法ごとに並べ、苦味が動いたかどうかを根拠つきで判定します。 アク・えぐみ・渋味は別の目的として注記し、毒性や安全のための理由は書きません。
↑判定の一覧
| 方法 | 判定 |
|---|---|
| 抽出条件(湯温・時間・挽き目) | 減る |
| 抽出条件(湯温・時間・挽き目) | 減る |
| 抽出条件(湯温・時間・挽き目) | 変わらない |
| 抽出条件(湯温・時間・挽き目) | 増える |
読み比べて分かったこと
緑茶の淹れ方を並べると、湯温を下げると苦味や渋味が弱まるという向きは、測り方の違う 4 つの資料がそろって指しています。ただし苦味そのものを人が湯温ごとに評価したのは中国の龍井茶だけで(訓練パネル9名、70℃から100℃で苦味 3.13 から 5.17)、かぶせ茶の22名の評価は渋味だけ、1972年の煎茶の研究はタンニンなどの成分量だけ、深蒸し煎茶の測定は味覚センサーの渋味です。向きは一致していても、それぞれが測ったのは別の茶と別の物差しで、ほかの資料の欠けを埋め合うものではありません。
浸出時間の比較は、成分の量と人の評点がずれる例です。80℃の湯 80 mL で煎茶 3 g を 0.5 分から 4 分まで浸出した1994年の報告では、1煎目のタンニンは 6.69 から 25.47 mg/80 mL へ増えたのに、15名の苦味と渋味の評点は浸出時間による差が少ないと著者は書いています。時間ごとの評点は本文に示されておらず、予備的な結果です。湯温の比較でも、成分の量だけでは苦味の強さを言えません。
水出しと湯の比較(15名、水温2℃と80℃)は別の市販品どうしで、上投と下投の比較(10名)は中国の緑茶 1 種を85℃で淹れたものだけです。どこまで言えるかというと、湯温を下げた液で苦味が弱かったことは中国の龍井茶で人が評価して言え、日本の煎茶では成分と渋味と味覚センサーから同じ向きが読めるところまでです。浸出時間を変えても苦味の評点が大きく変わらないことや、湯を先に入れると苦味が強まることは、それぞれ 1 本の報告にとどまり、言い切れる段階にはありません。
この節の根拠(6)
- Elucidating the effect of brewing temperature on the sensory quality of Longjing tea based on multi-scale molecular sensory science — Deng Sihan; Cao Qing-Qing; Gao Ying; Wu Weiwei; Chen Jian-Xin; Wang Fang; Zou Qian; Xu Fangxiang; Cao Xuefeng; Sun Weijiang; Yin Jun-Feng; Xu Yong-Quan / 2025 / 全文確認
この節で確認した範囲: 龍井茶で湯温ごとに苦味の評点が上がる向き(全文)/苦味を人が湯温ごとに評価したのが龍井茶であること(全文) - 異なる条件で浸出した緑茶の渋味およびうま味の味覚センサーによる評価 (Evaluation of Astringency and Umami of Green Tea Infusions with Different Elution Conditions Using a Taste Sensor System) — Kubo Tomoko; Fujiwara Takayuki; Tomizawa Yoshiko / 2014 / 全文確認
この節で確認した範囲: かぶせ茶の湯温と渋味の評価で苦味は聞いていないこと(全文) - 煎茶の浸出条件と可溶成分との関係 (Relation between Infusing Condition of Green Tea and Soluble Component) — Ikeda Shigemi; Nakagawa Muneyuki; Iwasa Kiyoshi / 1972 / 全文確認
この節で確認した範囲: 煎茶の湯温とタンニン溶出量で官能が無いこと(全文)/湯温を上げるとタンニン溶出量が増えること(全文) - 茶の淹れ方による呈味の味認識装置による評価 (Evaluation of Umami and Astringency on the Preparation of Tea by Means of a Taste Sensing System) — 内山裕美子; 築舘香澄; 加藤みゆき; 山口優一; 陳栄剛; 大森正司 / 2013 / 全文確認
この節で確認した範囲: 味覚センサーの渋味強度が温度とともに増える傾向(全文) - 各種製茶の煎出条件とカフェイン・タンニン溶出量及び味との関係 — 米田泰子; 加藤佐千子 / 1994 / 全文確認
この節で確認した範囲: 浸出時間でタンニンは増えても評点の差が少ないこと(全文)/水出しと80℃の比較が別の市販品どうしであること(全文) - Revealing the influence of top-brewing and bottom-brewing methods on the flavor of green tea based on the interaction between EGCG and aroma compounds — Zheng Mengke; Mao Zhongyi; Yang Yinan; Qi Guihong; Li Peng; Luo Yufeng; Zhang Donghao; Xie Jianping; Sun Shihao / 2026 / 全文確認
この節で確認した範囲: 上投と下投の比較が1種の茶の85℃だけであること(全文)
減る
抽出条件(湯温・時間・挽き目)減る食品
条件: 湯温を下げる(70〜80℃)。龍井茶は70・80・90・100℃で4分浸出、訓練パネル9名。苦味以外の目的: 渋味
龍井茶(標準等級)では湯温が上がるほど苦味が3.13から5.17へ、渋味が2.07から4.13へ有意に強くなり、著者らは70〜80℃の低い湯温で苦味と渋味が弱まると結論した。かぶせ茶でも90℃の液の渋味は50℃より強く、20℃・5℃では弱かった(22名、渋味のみ)。煎茶そのものの苦味を湯温を変えて測った日本の研究には届いていない。
範囲: 龍井茶の高級品と標準品の2等級。70・80・90・100℃の湯で4分浸出。45℃に保った浸出液を、訓練パネル9名(3か月以上の訓練)が定量的記述分析で評価(0〜10の尺度)
注記: 苦味と渋味は別の属性として評価されている。茶葉量と水量は本文に記されていない。数値は標準等級(SL)の70℃から100℃への変化として本文が示したもので、高級品は増加率のみが示される。日本の煎茶ではなく中国の龍井茶である。
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ingredient-green-tea —has_bitter_astringency_affected_by→ (上の主張の文)範囲: 2011年産のかぶせ茶(やぶきた)。茶25 gと水1 Lをガラスポットに入れて静置した浸出液を、茶の研究・普及・業務に従事する22名が、50℃浸出液を基準に渋味を相対評価
注記: 評価値は図から読み取った概数で、評価対象は渋味とうま味であり苦味は評価していない。解析に用いたのは5試料(かぶせ茶Bの4浸出条件とかぶせ茶Cの50℃)にとどまる。茶種は煎茶ではなくかぶせ茶である。個々の条件間の差の検定は示されていない。
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ingredient-green-tea —has_sensory_response→ (上の主張の文)範囲: 試作した上級煎茶と並級煎茶(一番茶と二・三番茶混合の再製茶)。40・60・80・95℃の湯で2・4・6・8・10分浸出した液の化学分析
注記: 官能評価は行っていない。苦渋味への言及はタンニンとエピガロカテキンガレートの溶出量に基づく著者の考察と推奨で、苦味と渋味の強さを測った結果ではない。エピガロカテキンガレートの溶出量(上級茶、茶に対する%)は2分浸出で40℃0.27、80℃1.69、10分浸出で40℃1.08、80℃3.26であった。
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ingredient-green-tea —has_bitter_astringency_affected_by→ (上の主張の文)抽出条件(湯温・時間・挽き目)減る食品
条件: 水出し(冷水で浸出)。水温2℃の水出し煎茶と80℃の煎茶を15名が評価(別の市販品どうし)。苦味以外の目的: 渋味
水出し煎茶の苦味と渋味は−1.73前後と弱く、80℃の煎茶(苦味0.53・渋味0.66)を下回った。ただし同じ茶葉で水温だけを変えた比較ではない。同じ茶葉を5℃・40℃・100℃と順に浸出した味覚センサーの測定でも、渋味強度は温度とともに増える傾向だった。
範囲: 市販の水出し煎茶1試料と市販の宇治煎茶1試料(別の製品)。ノートルダム女子大学の教職員15名が、苦味・渋味・甘味・旨味・全体の味を強い+2〜弱い−2、嗜好を好む+2〜好まない−2の5段階で単独評価
注記: 水出し煎茶と煎茶は別の市販品であり、同一の茶葉で水温だけを変えた比較ではない。著者は評点の低さを溶出成分の少なさによると推察している。水出し煎茶は甘味・旨味・全体の味もやや弱かった。水温は原文の表記どおり2℃(水出し条件としては低い値である)。
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ingredient-green-tea —has_sensory_response→ (上の主張の文)範囲: 静岡県川根産の深蒸し煎茶(やぶきた一番茶、2011年産)。味覚センサー(SA402B)の測定値とHPLCのカテキン定量
注記: 味覚センサーの測定値であり、ヒトの官能と同一視しない。同じ茶葉で5℃、40℃、100℃の順に浸出を重ねた条件で、冷水浸出で十分に膨潤した茶葉を用いた結果であり、別々の新しい茶葉を各温度で浸出した結果とは異なる(別の茶葉では、5℃より40℃で渋味強度は微増)。苦味ではなく渋味の強度である。
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ingredient-green-tea —has_sensory_response→ (上の主張の文)変わらない
抽出条件(湯温・時間・挽き目)変わらない食品
条件: 浸出時間を0.5〜4分で変える(80℃、煎茶3 g・湯80 mL、15名)。苦味以外の目的: 渋味
浸出時間を0.5分から4分まで変えても、苦味・渋味の評点の差は少なかった。浸出液のタンニン量は時間とともに増えていた。
範囲: 市販の宇治煎茶1試料。ノートルダム女子大学の教職員15名が苦味・渋味などを−2〜+2の5段階で単独評価。苦味と渋味の双方について、浸出時間(0.5〜4分)による差は少ないとされた
注記: 浸出時間ごとの苦味・渋味の評点は本文には示されず(代表の2分時の評点のみ)、差が少ないことは著者の記述である。タンニン量は酒石酸鉄法の化学分析で、官能評価と同一視しない。
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ingredient-green-tea —has_perceived_bitterness_unchanged_by→ (上の主張の文)増える
抽出条件(湯温・時間・挽き目)増える食品
条件: 湯を先に入れて茶葉を後から加える(上投)。85℃・4分、茶葉5 g・湯250 mL。
湯を先に入れて茶葉を後から加えた液は、茶葉を先に入れて湯を注いだ液より有意に強い苦味を示した。総ポリフェノール量も多かった。
範囲: 舒城小蘭花(中国安徽省の緑茶)1種。10名(22〜30歳)が苦味・渋味などを0〜5の尺度で評価。香気成分の分析が主題の研究で、官能評価は85℃の2方法の比較のみ
注記: 苦味の評点と検定の結果は図にあり、本文には「有意に強い苦味」とのみ記されて数値が無い。渋味の比較結果は本文に記されない。苦味の差の原因とされるポリフェノール量の差は分析値であり、官能と直接結びつけて確かめたものではない。
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ingredient-green-tea —has_bitter_astringency_affected_by→ (上の主張の文)